2024.10.10
最近、お口は「健康への入り口」とよく耳にするようになりましたね。歯の健康を維持することが当たり前になりつつある世の中で歯の予防が体への健康につながることは皆さんよくご存知だと思います。お口は、食べる・話す・呼吸などに関わる大切な場所です。今回はひとまとめにお口の事だけでなく、口の周りの筋肉「口輪筋」のお話をしたいと思います。口の周りの筋肉がどう健康や歯の予防につながるのかをみなさんに知ってもらいたいと思います。口輪筋の鍛え方についても紹介しますので是非最後まで目を通してくださいね。
目次
口の周りをぐるりと囲んでいる表情筋のことを口輪筋といいます。口輪筋は口を閉じたり、唇を突き出したりする動作を支えている働きをしています。表情に大事な口角を上げる動きも口輪筋が関わっています。豊かな表情を表現するのに重要な筋肉です。唇の周囲を取り囲むようにして口輪筋(筋肉)は存在しています。唇を閉じたり、すぼめたりする時にも使いますが、普段意識して動かすことが少ない部分でもありす。加齢とともに衰えてしまう傾向にあります。口角が下がってくるのもそのせいです。また、たくさんの表情筋が口輪筋から伸びています。口輪筋が弱くなると、周囲の表情筋もあまり動かなくなります。表情筋が動かなくなることで表情に豊かさがなくなります。さらに、口輪筋の衰えは、物をうまく飲み込めなくなったり、発音が若い時と比べて聞き取りにくくなる、などの原因になったりします。また、唇をしっかり閉じていられなくなり、口で呼吸をするようになってしまうのです。
口輪筋が衰えると、口を閉じていられなくなります。唾液が蒸発して口の中が乾燥するようになるのです。口の中が乾燥すると唾液の量が十分に保てなくなるため、これらの機能が低下します。 これにより、酸性の食べ物や飲み物、または口の中の細菌によって生成される酸が歯を溶かし、虫歯を引き起こす可能性が高まることになります。虫歯だけではなく、歯肉炎、歯石沈着、歯周病、口臭に影響を与えるといわれてます。
口呼吸になるとなぜいけないのか?それは鼻のフィルター機能やエアコン機能を介さずに、気道に空気が直接入るので細菌やウイルスに感染するリスクが高まるためです。特に寝てる時は意識して口を閉じることができません。長時間口を開けたままになります。朝起きたときにのどが痛い、よだれが出る、といった症状を自覚する人もいます。鼻呼吸は呼吸器の乾燥を防ぐのと、体内に異物が入るのを防いでくれるため、とても大切なことなのです。
口輪筋の筋力が低下すると、舌が重力に逆らえずに喉元に落ち込み、気道を塞いでしまうことがあります。通常、寝ているだけで気道を完全に塞ぐようなことはほとんどないのですが、加齢などにより舌の筋肉が衰えて緩んでくると、睡眠中に起こるリスクが高まります。気道が狭くなると、イビキや無呼吸症候群を起こしやすくなります。特に女性の高齢者は筋肉の力が弱い傾向にあるため、舌の筋肉も衰えていることが多い傾向にあります。気道が狭くなると酸素不足になり、眠りを浅くし睡眠不足、記憶力低下などに繋がったりします。お口を閉じてしっかり就寝時も鼻で呼吸をすることがこんなにも体を守ることにつながるのです。
口をポカンとあけて口呼吸をしている人たちが増えた理由の一つとして、軟食化の影響により、口腔機能が十分に発達していない可能性があるのです。現代は軟食の時代と言われています。つまり、ハンバーグ、シチューといった柔らかいものや甘いジュースが好まれる時代で、噛む回数も戦前の半分以下に減っています。噛む回数が減ると自然と口輪筋も鍛えられる機会が減ります。
高齢になるにつれて、お口の働きは低下します。お口をだんだんと使わなくなるため低下するのです。若い頃のように活動し、よく笑い、なんでもしっかりと噛んで食べることができれば、お顔の筋肉もよく動くので、意識して動かす必要はありません。しかし、高齢者の方は人との交流の機会が減り、減ることで笑うことやおしゃべりすることが少なくなってしまいがちです。また、むし歯や歯周病により歯を失ってしまうと柔らかいものばかり好んで食べるようになります。お口のまわりの筋肉はますます動きにくくなってしまうのです。食べたり、飲んだりすることが段々と難しくなります。筋肉は使わないでいると、だんだんと動きにくくなるのはお口の筋肉も同じです。口腔周囲筋のストレッチなどをすることは、筋肉の動きの改善につながります。つまり、お口の働きの改善につながるのです。
顔には表情筋があります。顔の土台になるものです。老化で筋肉が衰えてくると、皮膚が支えられず、血液やリンパの流れが悪くなり、老廃物や水分が溜まり、たるみやしわの原因になるのです。表情筋を鍛え老化をおさえるのが口輪筋だと言われています。殆どの顔の筋肉は、口の周りにつながっています。体内の健康だけでなく見た目にも関係してくるのです。
口輪筋を衰えないようにする運動の代表的なものでパタカラ体操というものがあります。これは道具なしでいつでも行えます。お口の周りの筋肉が弱っていくのを予防したり、改善を目的とした筋肉のトレーニングです。
「パ」は、唇をしっかりと閉じて発音します。食べ物をお口の中に閉じ込めこぼさないようにする役割があります。
「タ」は舌を上あごにしっかりとべったりくっつけることで発音します。 口腔内で食べ物を噛む時や、噛み終わって食べ物を飲み込む時には、舌の全面が上あごにグッとついていなくてはいけません。 舌が上あごについていないと、食べ物を押しつぶしたり、しっかり飲み込んだりすることができないのです。 「タ」の発音は上あごから下あごへ舌を打ちつけるような動きをするので舌の筋肉のトレーニングになります。
「カ」はのどの奥に力を入れて、のどにグッと力を入れることで発音します。 食べ物を飲み込み、そして食道へと送るためには、一瞬呼吸を止めることが必要になります。 この力が無ければ食べ物をスムーズに食道へと運ぶことができません。食べ物を食道に送るトレーニングができます。
「ラ」は舌先を上の前歯の裏につけて発音します。食べ物をしっかり飲み込むためには舌がよく動かさなくてはいけません。食べ物をのどの奥へと運ぶための舌のトレーニングができます。
パタカラ体操を紹介しましたが、実は普段から心がけることで口輪筋のトレーニングになることはたくさんあるのです。日頃から口角をあげて笑うこと。このときにポイントがあります。ただ口角を上げて笑うのではなく、唇を口の中に丸め込んで、そのままの状態でぐっと口角を上げて、さらに頬を上げて笑うこと。言葉で聞いてもイメージが湧きにくいと思うので最初は鏡を見てやってみてください。簡単そうに聞こえますが、意識して口角を上げて笑おうとするととても頬が疲れます。普段表情筋をどれだけ使っていないか実感すると思います。二つ目は口笛を吹くこと。口笛を吹こうとする動作は自然と口周りの筋肉を使うのでおすすめです。車の中や自宅でスマホを見てる時など人の迷惑にならないところで手軽にできます。3つ目は少し道具を使います。2リットルのペットボトルです。中を空にしておきます。お口を「ほ」と発音する時の形にします。この時、唇はできるだけ前へ突き出します。そのまま「ほー」と言いながら息が切れるまで発声します。息を吐ききってからペットボトルを唇でくわえます。この時歯を使わないように注意してください。使うのは唇のみです。くわえたままお尻の穴と唇に力を入れて思い切り息を吸い込みます。大体8秒数えたらお尻の力を緩めて、お腹をへこませながら「ほー」と再び発声し息を吹きます。毎日3回くらい繰り返すことが目標です。最初は慣れないと思いますが、普段の生活にこのトレーニングの習慣を取り入れることができるようになると自然と口輪筋の予防につながります。
ぜひ口輪筋を鍛えてイキイキした表情と健口を保っていきましょう!
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