2025.11.05
目次
歯医者に行ったとき必ず出てくるセリフ。
「これは保険でできますけど、こちらは自費になります」
……って、いきなり二択を突きつけられても困りますよね。
頭の中では「ジョイフルに行くかフレンチに行くか」くらいのギャップを想像してしまう。
ざっくり言えば、
保険診療:最低限お腹は満たせるファミレス。値段は安くて誰でも入れる。
自費診療:シェフが腕をふるう高級レストラン。財布にダメージはあるけど、満足度とクオリティは段違い。
歯科の補綴治療(歯を補う治療)も同じです。
「噛めるようになる」というゴールは一緒でも、その道のりと出来上がりはまるで違います。
ここからは CAD/CAM冠・インレー、セラミッククラウン、インプラント、入れ歯 を中心に、保険と自費を比べながら解説していきます。
専門性はしっかり押さえつつ、途中で眠くならないようにユーモアを挟んでいきますので、最後まで安心して噛みしめてください。
CAD=Computer Aided Design
CAM=Computer Aided Manufacturing
要するに「パソコンで設計して機械で削り出す」システムです。
白いブロックをガリガリ削って歯の形にする──まるで3Dプリンターの親戚みたいな治療法。
材料:ハイブリッドレジン(プラスチック+セラミック粉末)
適用部位:前歯〜小臼歯、大臼歯は条件付き
メリット:見た目は銀歯より自然で安い
デメリット:割れやすく、すり減りやすく、数年で作り直しも
医学的には、ハイブリッドレジンは咬耗(すり減り)が強く、臼歯部の咬合力に耐えにくいとされています。
つまり「強い力で握りつぶされる豆腐ハンバーグ」みたいなもの。柔らかいんです。
→ 例えるなら 量産型ザク。とにかく数をそろえやすいが、戦場(口の中)ではやられやすい。
材料:高強度セラミックやフルジルコニア
特徴:変色しにくく、割れにくく、精度も高い
見た目:天然歯に限りなく近い
これはもう ニューガンダム。武装も耐久力も段違いで、長持ちする。
費用はかかるけど、その分「修理の回数=通院の手間」も減るので、長い目で見ればコスパは悪くない。
光の透過性が天然歯に近い
変色がほぼない(10年後も白さキープ)
表面がツルツルでプラーク付着が少ない
むし歯や歯周病リスクを下げられる
科学的に言うと、セラミック表面の粗さ(Ra値)はレジンの半分以下。
つまりバイ菌にとっては「摩擦ゼロのスケートリンク」。滑ってつかまれない。
保険CAD/CAM:最初は白いが、コーヒーやカレーで数年後に黄ばむ
セラミック:ほぼ無変色。歯磨き頑張れば10年後も笑顔キラキラ
→ ユニクロの白シャツと、オーダーメイドの高級シャツの違い。
どちらも最初は白いけど、数年後に差が出る。
費用が高い(7〜15万円)
割れることがある(ただし最近はジルコニア強化で改善中)
セラミックは「笑顔のハイブランド」。高いけど投資価値あり。
チタンの人工歯根を骨に埋め込む
その上にアバットメントと人工歯を装着
チタンと骨が結合する「オッセオインテグレーション」で固定
医学的には成功率90%以上。ただし全身疾患や喫煙で成功率は下がる。
噛む力が天然歯に近い
見た目が自然
隣の歯を削らない
保険が効かない(1本 約30〜60万)
外科手術が必要
骨量不足だと追加処置(GBRやサイナスリフト)が必要
インプラント=Wi-Fi直通回線(快適・安定)
ブリッジ=中継器つきWi-Fi(繋がるけど負担あり)
入れ歯=テザリング(便利だけど電池食う=周囲の歯が消耗)
レジン製で分厚い
違和感が強く慣れにくい
割れやすい
まさに「パイプ椅子」。座れるけど長時間はしんどい。
金属床義歯:薄くて軽く、熱も伝わる
シリコン義歯:フィット感良好で痛くない
ノンクラスプデンチャー:金属バネなしで見た目自然
これは「リクライニングチェア」。座り心地は天と地。
厚みの違いは約1/3程度(レジン床2〜3mm、金属床0.5〜1mm)
厚みが減ることで発音や食感の違和感が激減する
全国一律料金
材料も規制あり
「最低限の機能回復」が目的
材料代(セラミック、ジルコニア、チタンなど)
歯科技工士のオーダーメイド作業
設備(CAD/CAMマシン、CT)
医師の時間と技術
つまり「自費=高級車を手作りしている」状態。
部品も人件費も桁違いだから高い。
学生や若者:保険CAD/CAMでOK。ただし寿命短めだから将来の交換前提。
社会人:セラミックで見た目と信頼感を確保。営業スマイルに投資。
高齢者:入れ歯かインプラント。快適さと生活の質を重視。
保険=国が用意した安全装備
自費=人生を豊かにするカスタマイズ
冷蔵庫やスマホなら10年で買い替えできますが、歯はそうはいきません。
だからこそ「一生モノのパートナー選び」として補綴治療を考えることが大切です。
噛める、笑える、しゃべれる──そのすべてが生活の土台。
ファミレスで済ますか、高級レストランで楽しむか。
答えはあなたのライフスタイルと価値観次第です。
歯科治療は車やスマホより高額に感じるかもしれません。ですが、車は10年で買い替え、スマホは数年で機種変更。歯は? 60年、70年、いや100年近く付き合うパートナーです。
もし「長期的な投資」として考えるなら、見た目や快適さだけでなく、医学的に骨や歯肉を守れるかどうかが大事な基準になります。
だから私は患者さんによくこう言います。
「歯の治療はショッピングじゃなく、未来の自分への貯金ですよ」って。
ただし時々、「いやいや今の財布事情が未来の貯金を食い尽くしてます!」というツッコミももらいます。そんなときは無理せず保険診療で、でも将来のオプションを知っておくことが大事です。
歯医者にとってのゴールは「治すこと」じゃなく「噛んで笑って生きられる時間を長くすること」。
保険も自費も、そのための道具にすぎません。
あなたがどの道具を選ぶかは、未来のあなたの笑顔次第。
「硬いお煎餅をバリバリ食べたいか」「見た目をとことんこだわりたいか」「とにかくコスパ優先か」。
選択肢があるのは不便そうで実はありがたいこと。
だって歯科の世界は、今日も「噛む力」と「生きる力」を真剣に支えているのです。
そんな噛む力と笑顔の未来を守る、あなたの“歯のパートナー”として、当院はいつでもお待ちしています。
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