医院ブログ

〜CAD/CAM冠・インレー・セラミック・インプラント・入れ歯まで徹底比較〜

2025.11.05

1.はじめに:歯医者はファミレスか高級レストランか?

歯医者に行ったとき必ず出てくるセリフ。

「これは保険でできますけど、こちらは自費になります」

……って、いきなり二択を突きつけられても困りますよね。

頭の中では「ジョイフルに行くかフレンチに行くか」くらいのギャップを想像してしまう。

ざっくり言えば、

保険診療:最低限お腹は満たせるファミレス。値段は安くて誰でも入れる。

自費診療:シェフが腕をふるう高級レストラン。財布にダメージはあるけど、満足度とクオリティは段違い。

歯科の補綴治療(歯を補う治療)も同じです。

「噛めるようになる」というゴールは一緒でも、その道のりと出来上がりはまるで違います。

ここからは CAD/CAM冠・インレー、セラミッククラウン、インプラント、入れ歯 を中心に、保険と自費を比べながら解説していきます。

専門性はしっかり押さえつつ、途中で眠くならないようにユーモアを挟んでいきますので、最後まで安心して噛みしめてください。

2.CAD/CAM 冠・インレー:量産型ザクか、オーダーメイドのニューガンダムか

2-1. CAD/CAM とは?

CAD=Computer Aided Design

CAM=Computer Aided Manufacturing

要するに「パソコンで設計して機械で削り出す」システムです。

白いブロックをガリガリ削って歯の形にする──まるで3Dプリンターの親戚みたいな治療法。

2-2. 保険のCAD/CAM冠

材料:ハイブリッドレジン(プラスチック+セラミック粉末)
適用部位:前歯〜小臼歯、大臼歯は条件付き
メリット:見た目は銀歯より自然で安い
デメリット:割れやすく、すり減りやすく、数年で作り直しも

医学的には、ハイブリッドレジンは咬耗(すり減り)が強く、臼歯部の咬合力に耐えにくいとされています。

つまり「強い力で握りつぶされる豆腐ハンバーグ」みたいなもの。柔らかいんです。

→ 例えるなら 量産型ザク。とにかく数をそろえやすいが、戦場(口の中)ではやられやすい。

2-3. 自費のCAD/CAMやインレー

材料:高強度セラミックやフルジルコニア
特徴:変色しにくく、割れにくく、精度も高い
見た目:天然歯に限りなく近い

これはもう ニューガンダム。武装も耐久力も段違いで、長持ちする。

費用はかかるけど、その分「修理の回数=通院の手間」も減るので、長い目で見ればコスパは悪くない。

3.セラミッククラウン:ユニクロの白シャツか、オーダーメイドの高級シャツか

3-1. セラミックの特徴

光の透過性が天然歯に近い
変色がほぼない(10年後も白さキープ)
表面がツルツルでプラーク付着が少ない
むし歯や歯周病リスクを下げられる

科学的に言うと、セラミック表面の粗さ(Ra値)はレジンの半分以下。

つまりバイ菌にとっては「摩擦ゼロのスケートリンク」。滑ってつかまれない。

3-2. 保険CAD/CAMとの違い

保険CAD/CAM:最初は白いが、コーヒーやカレーで数年後に黄ばむ
セラミック:ほぼ無変色。歯磨き頑張れば10年後も笑顔キラキラ
→ ユニクロの白シャツと、オーダーメイドの高級シャツの違い。
どちらも最初は白いけど、数年後に差が出る。

3-3. デメリット

費用が高い(7〜15万円)
割れることがある(ただし最近はジルコニア強化で改善中)
セラミックは「笑顔のハイブランド」。高いけど投資価値あり。

4.インプラント:Wi-Fi直通回線の快感

4-1. インプラントの仕組み

チタンの人工歯根を骨に埋め込む
その上にアバットメントと人工歯を装着
チタンと骨が結合する「オッセオインテグレーション」で固定

医学的には成功率90%以上。ただし全身疾患や喫煙で成功率は下がる。

4-2. メリット

噛む力が天然歯に近い
見た目が自然
隣の歯を削らない

4-3. デメリット

保険が効かない(1本 約30〜60万)
外科手術が必要
骨量不足だと追加処置(GBRやサイナスリフト)が必要

4-4. 例え話

インプラント=Wi-Fi直通回線(快適・安定)
ブリッジ=中継器つきWi-Fi(繋がるけど負担あり)
入れ歯=テザリング(便利だけど電池食う=周囲の歯が消耗)

5.入れ歯:パイプ椅子かリクライニングチェアか

5-1. 保険の入れ歯

レジン製で分厚い
違和感が強く慣れにくい
割れやすい

まさに「パイプ椅子」。座れるけど長時間はしんどい。

5-2. 自費の入れ歯

金属床義歯:薄くて軽く、熱も伝わる
シリコン義歯:フィット感良好で痛くない
ノンクラスプデンチャー:金属バネなしで見た目自然

これは「リクライニングチェア」。座り心地は天と地。

5-3. 医学的な補足

厚みの違いは約1/3程度(レジン床2〜3mm、金属床0.5〜1mm)
厚みが減ることで発音や食感の違和感が激減する

6.お金の話:なぜ自費は高い?

6-1. 保険治療の仕組み

全国一律料金
材料も規制あり
「最低限の機能回復」が目的

6-2. 自費治療の費用内訳

材料代(セラミック、ジルコニア、チタンなど)
歯科技工士のオーダーメイド作業
設備(CAD/CAMマシン、CT)
医師の時間と技術

つまり「自費=高級車を手作りしている」状態。

部品も人件費も桁違いだから高い。

7.ライフスタイル別おすすめ

学生や若者:保険CAD/CAMでOK。ただし寿命短めだから将来の交換前提。
社会人:セラミックで見た目と信頼感を確保。営業スマイルに投資。
高齢者:入れ歯かインプラント。快適さと生活の質を重視。

8.まとめ:歯は“家電”じゃなく“パートナー”

保険=国が用意した安全装備
自費=人生を豊かにするカスタマイズ

冷蔵庫やスマホなら10年で買い替えできますが、歯はそうはいきません。

だからこそ「一生モノのパートナー選び」として補綴治療を考えることが大切です。

噛める、笑える、しゃべれる──そのすべてが生活の土台。

ファミレスで済ますか、高級レストランで楽しむか。

答えはあなたのライフスタイルと価値観次第です。

歯科治療は車やスマホより高額に感じるかもしれません。ですが、車は10年で買い替え、スマホは数年で機種変更。歯は? 60年、70年、いや100年近く付き合うパートナーです。

もし「長期的な投資」として考えるなら、見た目や快適さだけでなく、医学的に骨や歯肉を守れるかどうかが大事な基準になります。

だから私は患者さんによくこう言います。

「歯の治療はショッピングじゃなく、未来の自分への貯金ですよ」って。

ただし時々、「いやいや今の財布事情が未来の貯金を食い尽くしてます!」というツッコミももらいます。そんなときは無理せず保険診療で、でも将来のオプションを知っておくことが大事です。

歯医者にとってのゴールは「治すこと」じゃなく「噛んで笑って生きられる時間を長くすること」。

保険も自費も、そのための道具にすぎません。

あなたがどの道具を選ぶかは、未来のあなたの笑顔次第。

「硬いお煎餅をバリバリ食べたいか」「見た目をとことんこだわりたいか」「とにかくコスパ優先か」。

選択肢があるのは不便そうで実はありがたいこと。

だって歯科の世界は、今日も「噛む力」と「生きる力」を真剣に支えているのです。

そんな噛む力と笑顔の未来を守る、あなたの“歯のパートナー”として、当院はいつでもお待ちしています。

投稿者:医療法人すずき歯科(tokushima-dent.jp)