医院ブログ

喫煙が及ぼすインプラント治療への影響について

2024.12.11

あなたは喫煙の習慣がありますか?

また、残念ながら虫歯や歯周病などが原因で歯を失ってしまい、インプラント治療を検討されていませんか?喫煙はインプラント治療の成功率に大きな影響を与える要因の一つとされています。

今回のブログでは、喫煙が及ぼすインプラント治療への影響について具体的に詳しくご紹介していきたいと思います。

1.はじめに

インプラント治療とは?

インプラント治療とは、歯を失った患者様が自然な噛み心地を取り戻すために革新的な方法と言えます。顎の骨に人工歯根であるインプラント体を埋め込み、その上に人工歯冠をかぶせて歯を再現する治療のことです。このインプラント治療が成功するかどうかは顎の骨とインプラント体がしっかりと強固に結合できるかどうかに左右されます。

喫煙していると血液中の酸素や栄養が十分に供給されず、傷口の治りが不十分でインプラント体と顎の骨との結合が中途半端となり、安定しない可能性が出てきます。

そもそも喫煙している方のインプラント治療は行わないとする歯科医院も多いそうです。

また治療可能な場合でも、治療開始前から治療終了までは禁煙することが推奨されています。

すずき歯科でも、インプラント治療を検討される患者様には必ず喫煙歴を確認しており、少なくとも手術前後は禁煙を検討することをお勧めしております。

では、インプラント治療に対して喫煙がどのような影響を及ぼしているのか、また喫煙を継続した場合どのような影響が生じるのか、この2点についてご紹介していきます。

2.喫煙がインプラント治療に及ぼす影響とは?

喫煙はさまざまな理由によってインプラント治療に悪影響を与えると言われています。その代表的なものに以下の3つが挙げられます。

①治癒力が遅延したり免疫力が低下し、インプラントと骨が結合しにくくなる

インプラントを埋めた周辺では、新しい骨が増殖してインプラントに付着しながら固定されていくと言われます。ところが、タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があります。血液中の酸素や栄養がインプラントを支える歯ぐきや顎の骨に十分に供給されないと、インプラント手術後の傷口の治癒が遅れる可能性があります。またニコチンには免疫力を低下させる作用もあり、免疫力が低下すると埋め込んだインプラント体が骨にしっかりと結合するのに時間がかかったり、結合せずに抜け落ちてしまう場合があります。研究によると、喫煙している方のインプラント治療の成功率は非喫煙者に比べて約10%から20%低下することがあると言われています。

②インプラント周囲炎になりやすくなる

インプラント周囲炎とは、インプラント周囲の歯ぐきが炎症を起こし、インプラントを支えている骨(歯槽骨)を溶かす病気のことで、インプラントを喪失する最大の要因となります。

天然の歯には、歯と顎の骨の間に「歯根膜」と呼ばれるクッションのような役割をしている組織があり、この歯根膜が歯の根っこ(歯根)と歯槽骨をしっかりと結びつけいてますが、インプラントは直接顎の骨と結合しています。そのため、歯ぐきとの間に容易に細菌が入りやすく、インプラント周囲炎の進行は天然の歯の歯周病の進行よりも早いと言われます。

タバコに含まれるニコチンは免疫力を低下させるので、細菌が繁殖しやすくなり、インプラント周囲炎の発症リスクを高めるのです。気づいた時にはインプラントがグラグラと揺れている状態で、最悪の場合インプラントが自然に抜け落ちたり、維持が難しくなりインプラントを取り除く処置が必要になるケースも少なくないと言われます。

インプラントを長持ちさせるためには、より丁寧なブラッシングや適切な口腔ケアが必要となります。セルフケアと定期的なメインテナンスを受け、歯科衛生士や歯科医師によるプロッフェショナルケアを行うことでインプラント周囲炎を予防することがとても大切となるのです。

③唾液の分泌量が低下する

唾液には口腔内の汚れを洗い流す自浄作用や、口腔内の乾燥を防ぐことで細菌の繁殖を抑制する働きがあります。また、タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質を中和するのも大切な役割です。しかし、喫煙によって唾液の分泌量は低下してしまいます。これにより、口腔内の細菌の活動が活発になってしまい、インプラント周囲炎などを引き起こすリスクが高まるのです。また、インプラントだけでなく、ご自身の天然の歯の虫歯や歯周病のリスクを高めることにもつながるため、十分に注意しなければいけません。

3.インプラント治療後も禁煙するべきか?

インプラント治療を受けている期間、特に手術を受ける前後の喫煙は控えるべきと言われています。では、インプラント治療が終わったら喫煙を再開しても良いのでしょうか?

もちろん治療後も禁煙を継続するのが理想です。少なくともインプラント体と顎の骨の結合を促し傷口を治すためには、手術後最低2~3週間程度は禁煙することが推奨されています。

治療後に喫煙を再開するとさまざまなリスクが生じると言われており、主に以下の3つが挙げられます。

①インプラントを維持できなくなる

治療後に喫煙を再開してしまうと、タバコに含まれるさまざまな有害物質の影響でインプラント体と顎の骨の結合が弱まります。インプラントが安定性しなくなることで結果的にぐらぐらしてしまうとしっかり噛めなくなったり、最終的にはせっかく埋め込んだインプラント体が抜け落ちてしまったりするリスクが高くなります。高額な費用を負担してインプラント治療を選択したのに、長期間インプラントを維持することができなくなってしまいます。

②インプラントの寿命が短くなる

インプラント治療を受けた方の9割が10~15年インプラントを使い続けていると言われており、入れ歯やブリッジに比べて寿命が非常に長いと言われています。もちろん治療を行う歯科医師の技術や治療環境、丁寧なセルフケアと定期的なメインテナンスを受けることも重要な要因です。

すずき歯科では、インプラントを20年以上使い続けていて現在もメインテナンスに通い続けて下さっている患者様もいらっしゃいます。

もし治療後に喫煙を再開してしまうと、タバコに含まれるニコチンの血管収縮作用や免疫力低下作用などによって歯ぐきや顎の骨に十分な酸素や栄養が行き届かなくなって、インプラント周囲炎をはじめとするトラブルが発生しやすくなり、結果としてインプラントの寿命が短くなる恐れがあるのです。

③口腔内の環境が悪化し、他の歯に悪影響を及ぼしてしまう

繰り返しになりますが、喫煙はインプラント周囲の環境だけでなく、口腔内の環境にも悪影響を及ぼします。タバコに含まれるニコチンにより血流が悪化して免疫力が低下することで、細菌が増殖したり歯ぐきが炎症を起こしやすくなったりするでしょう。インプラント周囲炎だけでなく、ご自身の健康な天然の歯の虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。

4.まとめ

今回は、喫煙とインプラント治療の関係についてご紹介しました。喫煙はインプラント治療にさまざまな悪影響を与え、治療期間が長引いてしまったり、インプラント治療の失敗にもつながります。また、治療が成功しても喫煙を継続していると埋め込んだインプラント体が抜け落ちてしまう原因にもなりえます。

できる限り禁煙に取り組んでいただきたいところですが、愛煙家の方がいきなり禁煙するのはとても難しいことだと思います。まずは本数を減らすことから取り組んでみてはいかがでしょうか?

高額なインプラント治療を検討されているなら、インプラントを少しでも長い期間使い続けられるよう、できるだけ減煙、禁煙に取り組むことをお勧めします。

この他にもインプラント治療を検討していてわからないことや不安なことがあれば、すずき歯科でお気軽にご相談ください。

投稿者:医療法人すずき歯科(tokushima-dent.jp)

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