2025.07.02
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あなたは「歯が抜ける」というと、何歳くらいの人を想像しますか?
多くの人は高齢者を思い浮かべるかもしれません。ところが、いま歯科医院には、20代や30 代で「歯がグラグラする」「歯が抜けそう」「すでに抜けてしまった」と相談に来る若年層が、確実に増えています。
しかも、「自分は歯磨きをしているから大丈夫」と思っている人ほど危ない。なぜなら、歯を失う原因は、単なる“磨き残し”だけではなく、もっと深くて複雑な生活習慣や体のサインに関係しているからです。
このブログでは、そんな見えづらい「歯が抜ける本当の理由」をわかりやすく、しかも20〜30代のライフスタイルに寄り添う視点で徹底解説していきます。
そもそも「歯が抜ける」とはどういう現象でしょうか?
歯は、顎の骨(歯槽骨)に根っこが埋まっており、歯根膜や歯肉によって支えられています。このバランスが崩れたとき、歯は「ぐらつく」「揺れる」ようになり、やがて自然に抜け落ちたり、抜歯せざるを得ない状態になります。
つまり、歯そのものが悪くなるというより、支えている“周囲の環境”の異常が大きな引き金なのです。
20〜30 代で最も注意すべき歯の喪失原因が「歯周病」です。
歯周病は、歯と歯茎の間にある歯周ポケットに溜まったプラーク(細菌の塊)が引き起こす慢性炎症。初期はほとんど痛みがないため、多くの人が自覚症状なく進行してしまいます。
・歯茎が腫れる、出血する
・口臭が強くなる
・歯が浮いた感じがする
・最終的には歯がグラグラして抜ける
特に、ストレスや睡眠不足、偏った食事が続くと、免疫力が下がり歯周病が急激に悪化しやすくなります。
虫歯も、歯を抜く原因になります。
ただし、虫歯そのものよりも「治療せずに放置してしまう」ことが最大の問題。歯の神経が死んでしまったり、歯の根に膿が溜まる「根尖病変(こんせんびょうへん)」に進行した場合、歯を残すのが難しくなるケースもあります。
「まだ我慢できるから大丈夫」と通院を先延ばしにすると、数年後に抜歯という最悪の結果を招くこともあります。
意外と知られていないのが、「噛み合わせの乱れ」や「歯ぎしり」による歯へのダメージです。
夜寝ている間に無意識に歯を強く噛んでいたり、日中の仕事中にグッと奥歯を噛みしめていたりしませんか?こうした習慣が、歯や骨に過剰な負担をかけ、歯の根が割れたり、歯が徐々に抜けやすくなる原因となります。
マウスピースの使用などで予防できますが、自覚がないと対処が遅れがちです。
特にアクティブな20〜30代にとって見逃せないのが「外傷による歯の脱落」。
・自転車やバイクでの転倒
・サッカー・格闘技などの衝突
・歯を使った開栓などの日常的な危険行為
歯は意外と“衝撃に弱い”構造です。前歯を打って神経が死んだり、根っこが折れてしまうと、年齢に関係なく抜歯の対象となってしまいます。
社会人になってから生活リズムが乱れていませんか?
実は、ストレスや睡眠不足が歯周病や虫歯を悪化させるのは医学的に証明されています。
ストレスホルモンが増えると、唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥→細菌が繁殖しやすい環境に。その結果、歯茎が腫れたり、歯の根がやられて抜けやすくなるのです。
これは特に女性に多い原因です。
妊娠中はホルモンバランスの変化によって歯茎が腫れやすくなり、「妊娠性歯肉炎」を引き起こすことがあります。適切なケアを怠ると、そのまま歯周病へ移行し、最悪の場合、歯の喪失に至るケースも。
妊婦健診と同時に、歯科の健診を受けることが重要です。
「タバコは肺がんだけじゃない」。
実は喫煙が歯を失うリスクを大幅に高めていること、ご存知ですか?
喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかるリスクが2〜6倍とも言われており、治療しても治りが遅い。さらに、飲酒の習慣が強い人も口内環境の悪化から歯の寿命が縮みやすくなります。
「美を求めすぎた代償」と言っても過言ではありません。
偏った食生活、炭水化物カット、極端な断食などによって栄養バランスが崩れると、歯茎や骨の再生能力が低下し、歯が抜けやすくなるというリスクがあります。
骨密度の低下やビタミン不足は、20代でも進行します。美容も健康も、両立が大切です。
昔治療した歯──そのまま放置していませんか?
古い詰め物や被せ物が合わなくなって隙間から細菌が侵入し、気づかないうちに内部で虫歯や根の感染が進行していることがあります。これが「見えない爆弾の正体です。
年1〜2回のメンテナンスは、大切な歯を守る“未来投資”です。
確かに、歯の強さや骨密度、免疫の強さはある程度“体質”や“遺伝”に左右されます。
でも、ここで重要なのは、「体質だから仕方ない」と諦めないこと。正しいケアと習慣で、どんなリスクも軽減できるのです。
①歯間ブラシやフロスを習慣化する
②3 ヶ月〜半年に1回の歯科メンテナンス
③睡眠と栄養をしっかり取る
④マウスピースで歯ぎしり予防
⑤「ちょっと変かも?」と思ったら、すぐ相談
・IT 企業勤務の28歳男性:食いしばりとストレスで奥歯の根が割れ、抜歯
・モデル志望の25歳女性:極端な糖質制限で歯茎がやせ、前歯が動揺
・会社員の31歳男性:放置した虫歯が神経死→膿で抜歯
歯が抜けるのは、歳をとったからではありません。
体と生活からのSOSサインを、無視し続けた結果です。
歯が抜ける原因は一つではなく、さまざまな要因が重なり合って起こることが多いです。
なかでも歯周病や虫歯といった予防可能な疾患によるものが大部分を占めており、日頃のケアや早期の治療によって大きくリスクを減らすことができます。
歯を失うことは、見た目や発音、食事だけでなく、全身の健康や生活の質にも深く関わってきます。正しい知識を持ち、定期的な検診やケアを怠らないことが、自分の歯を長く守るための第一歩です。
また歯を失うことはメタボリックシンドロームの始まりかもしれません。歯周病が進むと、炎症物質が血流に乗って全身に拡がり、内臓脂肪の蓄積、血糖値の上昇、動脈硬化などを引き起こすことがあるのです。つまり、歯の健康が崩れると、血管や代謝にも悪影響が及び、気づけばメタボ体質に。
さらに、歯を失えば噛む力が低下し、柔らかく高カロリーな食事に偏りがち。これもメタボを加速させる原因です。
歯を守ることは、全身の健康を守る「第一防衛線」。歯を失うことは、静かに進行する生活習慣病のサインかもしれません。
あなたがこれから10年、20年と健康で笑顔のある毎日を過ごすために、この記事が“気づき”のきっかけになれば嬉しく思います。
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