2025.04.18
一言にむし歯と言っても、進行具合によって治療方法が異なります。虫歯とは歯の表面にあるエナメル質が酸によって侵食されることで発生します。治療は虫歯の進行度に応じて異なります。当然、小さな段階で治療ができれば少額・短期間で治療が済みます。しかし大きければ詰め物・被せ物・根管治療・抜歯など、治療回数が多くなり歯の負担も大きくなっていきます。
ご自身の歯にむし歯があるかどうかは、分かりません。定期的に歯科医院でレントゲンなどを撮影してしっかりチェックして早期発見するようにしましょう。
ほとんど自覚症状がありません。
C1とは、虫歯の進行度を示す分類の一つで、特に初期の虫歯を指します。むし歯がエナメル質(歯の一番外側の硬い部分)までに限られたむし歯です。具体的には、歯のエナメル質に小さな穴が開いた状態で、まだ象牙質には達していない段階です。この段階では、痛みを感じることは少なく、適切なケアを行うことで治癒する可能性があります。定期的な歯科検診や、適切な口腔ケアが重要です。もし虫歯の進行が気になる場合は、早めに歯科医師に相談することをお勧めします。適切なケアの一つにフッ素があります。フッ素は初期虫歯の進行を止める効果があります。初期虫歯は、歯のエナメル質が脱灰している状態であり、まだ穴が開いていない段階です。この段階でフッ素を使用することで、以下のような効果が期待できます。
1.エナメル質の強化:フッ素は歯のエナメル質に取り込まれ、歯を強化します。これにより、酸に対する抵抗力が向上し、虫歯の発生を抑えることができるのです。
2.再石灰化の促進:フッ素は、初期の虫歯(C1)の段階で、失われたミネラルを再び歯のエナメル質に取り込まれ再石灰化を促進します。これにより、虫歯の進行を防ぐことができます。
3.酸に対する抵抗力の向上:フッ素は、歯のエナメル質を強化し、酸に対する抵抗力を高めるため、虫歯のリスクを減少させます。
4.バイオフィルムの抑制:フッ素は、口腔内のバイオフィルム(プラーク)の形成を抑制し、虫歯の原因となる細菌の活動を減少させます。
5.細菌の活動抑制:フッ素には、虫歯の原因となる細菌の活動を抑えることができます。更に虫歯の原因となる細菌の活動を抑える細菌抑制効果もあります。フッ素は、フッ素入りの歯磨き粉やフッ素塗布、フッ素洗口などの形で利用されますが、使用方法や量には注意が必要です。最近の歯磨き粉のほとんどにフッ素が入っており簡単に手に入ると思います。歯医者にあるフッ素と歯磨き粉に入っているフッ素では濃度が違うことがほとんどです。特に子供の場合は、過剰摂取を避けるために、適切な指導を受けることが重要です。更に虫歯予防の一つにシーラントというものがあります。
シーラントとは、主に子供の奥歯の溝やくぼみを埋めるような予防的な治療法です。シーラントは、虫歯のリスクが高い部位を守るために使用されます。以下にシーラントの特徴と利点を説明します。
1.材料:シーラントは、主に樹脂系の材料で作られており、歯の表面に塗布されます。
2.適用部位:特に奥歯(主に6歳ごろ生えてくる6番目の歯)の咬合面(噛む面)の溝やくぼみが対象です。これらの部分は食べ物の残りや細菌がたまりやすく、虫歯になりやすいからです。
3.施術方法:歯科医院で行います。歯を清掃した後、接着剤を塗ってからシーラントを塗布し、光で硬化させます。施術は比較的短時間で済み、痛みもほとんどありません。
1.虫歯予防:シーラントを施すことで、虫歯のリスクを大幅に減少させることができます。
2.簡便さ:シーラントは非侵襲的な方法であり、歯を削る必要がないため、子供にとっても負担が少ないです。
3.長持ち:適切に施術されれば、数年にわたって効果を持続しますが、定期的なチェックが必要です。
シーラントは特に子供の歯に対して有効ですが、大人でも虫歯のリスクが高い場合には適用されることがあります。定期的な歯科検診を受けることで、シーラントの状態を確認し、必要に応じて再施術を行うことが重要です。
C2はむし歯が初期段階C1から進行し、エナメル質を越えて、歯の内部の少し深い所(象牙質)まで進んだむし歯です。この段階では、歯の表面に穴が開いていることが多く、代表的な症状としては冷たいものや甘いものを食べたときに痛みを感じることがあります。また、虫歯が進行するにつれて、黒っぽく歯の色が変わることもあります。痛みや知覚過敏に似た痛みを感じることがあります。C2まで虫歯が進行してしまうとC1で紹介したフッ素だけで進行を止めることは不可能になってしまいます。
1.充填治療(フィリング):C2の虫歯が確認された場合、まずは虫歯部分を削り取り、その後、樹脂をつめてLED(発光ダイオード)で硬化させ歯の形を修復します。しかし、虫歯の範囲や場所によっては樹脂をつめるのではなく、金属などの材料で詰める(付ける)治療が行われるのです。これにより、歯の形や機能を修復します。
C3のむし歯は激しく痛むことがあります。虫歯が神経まで達してしまっている状態です。ここまで進行してしまうと、歯の神経を取る根管治療を行う必要があります。根管治療を行う事で痛みを取り除いて歯を残すことができますが、神経が無くなります。そのため歯はもろくかけやすくなってしまうため、歯の寿命が短くなることがあります。
1.根管治療:虫歯がさらに進行し、神経に達している場合は、根管治療が必要になることがあります。この治療では、感染した神経を取り除き、根管内を清掃・消毒した後に詰め物を行います。
2.クラウン治療:虫歯が非常に進行している場合、歯の大部分が損なわれていることがあります。この場合、歯を削ってクラウン(被せ物)を装着する治療が行われることがあります。
根だけ残り、放置していると根の周囲に膿が溜まることがあるため、口臭もひどくなります。
むし歯が進行し過ぎて、歯の根っこの中までむし歯になっている状態です。この状態を放置すると、本来なら根を利用して土台を立てて被せ物を入れるのが、根が使えなくなってしまっているため土台を立てて被せ物を入れることもできなくなってしまいます。更に、他の歯への影響が出てしまい、感染が広がる恐れがあるためそれを防ぐために歯を抜かないといけない場合が多いです。歯を抜いた後は、インプラント・入れ歯・ブリッジという3つの選択肢の中から治療を選ばなければなりません。同じ虫歯でも進行度によって治療法が大きく変わるのです。
口の中にはたくさんの細菌が住んでいます。その中の一つであるミュータンス菌が主なむし歯の原因菌です。食べ物の糖分を分解して酸を生成します。細菌が生成する酸が歯のエナメル質を侵食し、脱灰を引き起こします。これが進行すると、虫歯が形成されます。特に、糖分が多い食品は細菌の栄養源となります。歯磨きやフロスを怠ると、プラーク(細菌の塊)が歯に蓄積し、虫歯のリスクが増加します。(唾液は再石灰化を助ける役割がありますが、唾液の分泌が少ないと虫歯のリスクが高まるのです。)これらの要因が組み合わさることで、虫歯が発生します。早期発見がいかに大事かが分かります。虫歯の早期発見のために、信頼できるかかりつけの歯科医院をぜひ見つけておきましょう。
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