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前歯のインプラント治療~見た目と機能を両立させる方法~

2023.12.11

Close up of dental teeth implant. 3D. ai generative

はじめに

 歯は日常生活の食事、会話時の発音に大きな役割を果たしています。歯を失うと、これらの要素に深刻な影響が出てきます。特に前歯の欠損は発音以外にも見た目への影響が大きく、常に精神的なストレスを感じることがあると思われます。

 歯の欠損に対する治療法として入れ歯やブリッジという選択肢がありますが、インプラント治療は見た目、機能において他の選択肢より優れております。

 今回は部分入れ歯とブリッジについて比較し、前歯のインプラントについて解説します。

インプラント治療とは

失った歯を人工歯として機能を回復させます

 インプラント治療は、歯を失った箇所に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を被せる治療方法です。これによって失われた歯の機能を回復させることができます。

 治療箇所には、金属アレルギーのリスクが低く生体適合性の高いチタン製の人工歯根を埋め込みます。これにより、人工歯根は顎の骨としっかりと結合し、入れ歯やブリッジと比較しても安定性が高く、噛む力を取り戻すことができます。

インプラント以外の主な前歯を失った際の治療法

入れ歯とブリッジが存在し、多くの場合保険診療で提供されます。

 歯を失った際のインプラント以外の治療方法として、部分入れ歯とブリッジを紹介します。インプラント治療は自由診療であるのに対して、部分入れ歯とブリッジは多くの場合、保険診療で提供されます。

部分入れ歯について

 部分入れ歯は取り外し可能なため、手入れがしやすいのが特徴です。また、ほとんどが保険診療による治療であり、比較的手頃な費用で治療を受けられます。入れ歯には総入れ歯と部分入れ歯が存在し、部分入れ歯は前歯のみを入れ歯にするなどの部分的な箇所を入れ歯にすることを指します。

 部分入れ歯は人工歯と義歯床、そしてクラスプ(金属のバネ)で構成されています。クラスプは治療箇所の隣の歯に引っかけて固定します。このため、ブリッジでの治療と比べて隣の健康な歯を大きく削る必要はありませんが、クラスプを使う箇所の歯には大きな負担がかかります。また、次第に歯ぐきが下がり歯が揺れやすくなることが想定されます。そのため、咬合(噛み合わせ)にも影響があります。

 審美的には、会話や笑顔などで口を開けた際にクラスプが目立つことがあります。また、噛む力はインプラントに比べて弱く、硬い食べ物を摂ることが難しいかもしれません。入れ歯の着用中は違和感や痛みを感じることもあります。

ブリッジについて

 ブリッジは歯がない部分に橋(ブリッジ)を架けるように人工歯を被せる治療法です。ブリッジは失った歯の部分に隣接する歯を土台にして、連結した人工歯を装着させる方法です。そのため、隣接する健康な歯を大きく削る必要があります。

 保険診療によるブリッジはコストが比較的低いですが、金属を使用した被せ物の場合、時間が経つにつれて歯肉が変色する可能性があります。特に前歯の治療では、審美的な観点から金属を使用しないジルコニア製のブリッジがおすすめです。

 ブリッジは取り外し不要で日常生活を送ることができるため、部分入れ歯と比較して自然な感覚を保つことができます。ただし、できる箇所や本数に制限があることもありますので、歯科医院での相談をお勧めします。

部分入れ歯とブリッジ比較表

 部分入れ歯とブリッジにおいて比較表になります。

比較項目 部分入れ歯 ブリッジ
適応する歯の本数 多数の歯の欠損に適応 3連結以上から
支える歯の負担 装着中は常に負担がかかる 両隣の支える歯を大きく削る
装着方法 取り外し可能 固定式
装着感覚 違和感が大きい 入れ歯より違和感は少ない
メンテナンス 取り外して清掃が可能 歯磨きが難しい
審美性 自然な外観を保てない場合が多い ジルコニアだと高い審美性をもつ
コスト 比較的安価

一般的に入れ歯より高い

前歯のインプラントのメリットとデメリット

インプラントは自由診療ですが機能性、審美性において優れています

 インプラント治療は、特殊な状況を除き、基本的には自由診療となります。インプラント治療を検討中の方は、メリット・デメリットを理解しておきましょう。

インプラント治療のメリット

 インプラント治療は、歯の欠損による外見や機能の問題を解決する優れた方法です。特に前歯の欠損は治療せずに隠すことが難しく、インプラントによる治療の恩恵は大きいです。

 インプラント治療の主なメリットを紹介します。

自然な見た目を再現できる

 白い歯の部分である人工歯冠は色調も他の歯と合わせることができ、自然な見た目を保ちます。インプラント治療によって、人工歯根は顎の骨と結合させるため、周囲の歯と同様の自然な見た目を保ち続けます。その結果、他人からはインプラントであることに気付かれず、自信を持って笑顔を見せることができるはずです。

自然の歯のような噛む力が回復する

 インプラントにすることで、噛む力をしっかりと受け止めることができます。食事において、入れ歯やブリッジと比較してもインプラントが最も自然な噛む力を再現できます。噛む負荷を他の歯にも分散でき、違和感なく食事を楽しむことができます。

隣接する歯に削ることはない

 インプラント治療はブリッジのように隣接する健康な歯を削る必要がなく、部分入れ歯のように金属のクラスプも使用しません。そのため、インプラントは他の歯に負荷をかけず、単独で機能します。

 インプラント治療は前歯の欠損を効果的に解決する方法です。他の治療法と比較しても、他の歯に与える影響が少なく、装着感も少ないため、自然な見た目を取り戻すことができます。

インプラントのデメリット

 インプラント治療には、注意すべき点も存在します。デメリットと思われる点について詳しく解説します。

手術のリスクがある

 インプラント治療は、一般的に成功率が高い治療と言われていますが、手術が伴うためリスクが存在します。

 手術中や手術後に出血、感染、神経への損傷などの合併症が発生する可能性があります。また、人工歯根を顎の骨に埋め込む過程で痛みや腫れが生じることもあります。

 事前に歯科医師とリスクについて十分に話し合い、適切な治療を受けられるか確認しておきましょう。

治療費の問題

 インプラント治療は自由診療のため、保険診療で行う入れ歯やブリッジの方法に比べて、費用は高くなります。手術費用やインプラントのコスト、追加的な処置の費用などがかかるため、インプラント治療を受けられる方は予算を考慮しておく必要があります。インプラント治療の内容を歯科医院に確認するだけではなく、事前に費用についても十分に理解しておくことが大切です。

歯ぐきの変化による影響

 歯ぐきが下がったり痩せたりなどの変化により、人工歯冠と人工歯根を繋ぐアバットメントが露出してしまう可能性があります。特にチタンを使用したアバットメントの場合、歯ぐきの変化によって金属部分が見えてしまい、見た目が悪くなることがあります。この点に注意し、ジルコニアのアバットメントを検討することもおすすめです

 前歯のインプラントを検討する際はデメリットを十分に理解して、患者様の口腔内の状態に合わせて適切な選択を行う必要があります。

インプラントのケアと長期維持のためにできること

 インプラント治療を成功させ、自然な見た目と機能を長期的に維持するためには、適切なケアと定期的な歯科検診が不可欠です。

プラークが溜まらないように適切なケアが重要です

 インプラントのケアでは、正しい歯磨きが大切です。歯ブラシの毛先を人工歯冠と歯茎に優しく当てるよう心がけましょう。過度な力を使って歯を磨くことは、歯や歯茎を傷つける可能性があるため注意が必要です。プラークが溜まらないようにするにはデンタルフロスを通すことも大切です。

定期的な歯科検診とクリーニングでインプラントの寿命を延ばそう

 インプラントの長期的な維持には、定期的な歯科検診とクリーニングが欠かせません。

 不適切な衛生管理は細菌感染を引き起こし、インプラント周囲炎の原因になる可能性があります。インプラント周囲炎は歯周病のような状態になり、歯肉の出血や腫れなどを引き起こします。徐々に歯ぐきが下がったり、痩せることで、インプラントの維持が難しくなります。

 適切なケアや定期的な歯科検診によって問題の早期発見が可能です。また、クリーニングを受けることによって、歯垢やバイオフィルムを除去し、歯茎の健康を保つことができます。

インプラント治療を受けるのが難しい方

 インプラント治療は有効な方法ですが、患者の健康状態を考慮する必要があります。

 以下に、インプラント治療が難しい場合について説明します。

口腔内の問題を抱える方(虫歯や歯周病)

 インプラント治療を検討する際に、虫歯や歯周病などの口腔内の問題がある場合、それらの問題を先に解決する必要があります。なぜなら、インプラントは健康な歯茎と骨にしっかりと結合する必要があり、炎症や感染症にかかった状態だとインプラント治療の成功率が低下する可能性があるからです。

持病を抱えている方(糖尿病・高血圧・心疾患)

 持病を抱えている方は、インプラント治療が可能かどうかを確認する必要があります。糖尿病や高血圧、心疾患などの持病がある場合、その状態や治療状況によっては、手術や麻酔のリスクが増加する可能性があります。インプラント治療を検討する際には、歯科医師との相談が不可欠です。

 インプラント治療は患者様の状態に合わせて行われます。口腔内の問題や持病を抱える方は、事前に歯科医師と相談を行い、治療の可否を判断してもらいましょう。

まとめ

 今回は前歯が欠損した場合の治療方法を紹介しました。部分入れ歯、ブリッジ、インプラントそれぞれのメリット、デメリットを解説しましたが、選択する上で一番大事なことは専門家である歯科医師と十分に話し合うことです。歯科医師に口腔内の状態を確認してもらい、患者様が希望するお口に近づける最適なプランを提案してもらいましょう。

投稿者:医療法人すずき歯科(tokushima-dent.jp)

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